甘い運命

1-20

私も食べ終わって食後のコーヒーを飲んでいると、修一さんがとんでもない話をぶち込んできた。

「…そういえば、都、羽田課長が好きなの?」

ブフォッ。ゲホゲホ。は…鼻からコーヒーが…。
私は慌ててティッシュで鼻と口を押さえた。

しばらく鼻を押さえて悶絶。痛いです、まじで。
顔のパーツを全部中心に寄せるようにしかめながら、私は言葉を絞り出す。

「何言ってるんですか修一さん。課長は既婚者ですよ?!
ありえません!!」
「やーでも世の中には不倫という言葉が…」
「私がするとでも?!
いくらブスでも、そんなことしません!
私のせいで誰かが不幸になるとか、絶対嫌です!!」

涙目で抗議した。悔しかった。修一さんに、そういう女だと思われたことが、とてつもなく悲しかった。

「…ごめん、悪かった。許して、この通り。」

修一さんは、机につくほど深く頭を下げた。
そして、鞄から3枚の紙を出した。
私の方に、そっと寄せる。

それは写真をコピー用紙にプリントアウトしたものだった。
───月曜日、羽田課長と駅まで行った時の。
二人で楽しそうに笑ってるもの、頭を撫でられているもの。私が課長の腕を叩いているもの。

確かに親密そうに見えるし、実際恋愛的な意味でなく親密ではあるから、修一さんが誤解するのも無理はない。


「───これは何ですか?」
「昨日の夕方、俺のデスクに置いてあった。」

ぞっ、とした。

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