甘い運命
1-28
映画館に着く頃には、雨がポツポツと降り始めていた。
傘、持ってないけど、いいか。
帰りにコンビニで買おう。
そんなことを思いながら、お目当てのアクションものの映画を観た。
──うん、面白かった!いい気分転換になったかも。
私はホクホクしながら、時計を見た。
現在、21:40過ぎ。
さっき映画観ながらポップコーンを食べたし、晩御飯はコンビニで買おう。
そんなことを思いながら、外を見る。
─ああ、やっぱり、結構降ってる。
確か駅寄りにコンビニがあった。
そこまで走ろう。
私は意を決して、歩道に飛び出した。
雨に濡れつつ数メートル走って、私は何か違和感のようなものに引っ掛かり、大通りを挟んで向かいの高級ホテルの方を見た。
そして、驚きに足を止める。
ホテルのエントランスから出てきたのは。
──修一さんと、槙原さん、だった。
楽しそうに笑い合いながら、槙原さんは修一さんの差した傘に入って、修一さんと腕を組んだ。
そのまま、駅の方に向かって歩いていく。
雨の中、私は濡れているのも忘れて、呆然とその姿を見送った───