甘い運命

1-33


「おねーちゃん、帰るよ。起きて。」

いつの間にか、ぐっすり眠ってしまったらしい。
岬に揺さぶられるまで、点滴が終わったことに気がついてなかった。

のそのそと起き上がると、点滴前よりは大分楽になっていた。
病院に連れてきてくれた、岬と雅人さんに感謝だ。

支払いは財布を渡して岬に頼み、また車に乗せてもらう。
今度は後部座席で、完全に横になる。

助手席の岬が、『今日泊まるから』と過保護なことを言うので、唯人を盾に大丈夫だと説得。

途中でスポーツドリンクとゼリー、お粥のレトルトをスーパーで買ってもらい、家に着いた。

「ありがと、岬。もう休んでれば大丈夫だから。」

できるだけ元気そうに言ったつもりだけど、そんな私を無視して雅人さんと何やら話した岬は、夕方まで様子を見ると言って雅人さんを帰してしまった。

もう反抗する気力も残ってないや。
私は諦めて、眠ってしまった。

──
────

和風だしのいい匂いがする。

ゆっくりと目を開けると、夕方の光が部屋に差し込んでいた。

もう夕方かぁ。
感覚的に、大分熱が下がった気がする。
汗かいたな、シャワー浴びたい。

よろよろと起き出して、岬に声を掛けてからシャワーを浴びる。
──はぁ、スッキリした。

髪を拭きながら、油断しまくっていた私に、岬が爆弾を落とした。

「おねーちゃん、さっき三上さんて人が来たよ。」



──なんですと?!
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