甘い運命
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「……は?…え?…何で?」
「おねーちゃんと約束があったのに、連絡つかないからって心配して来てくれたみたいよ。
何あのイケメン!おねーちゃんと、どういう関係?!」
からかうように私を見る表情。ニヤニヤしすぎだ。
私は敢えて淡々と答える。
「…残念でした。取引先の人で、お友達だよ。」
「えーでもあんなイケメン、惚れちゃうでしょ!」
ズキッと胸が痛んだけど、悟らせないように顔をしかめて答える。
「何を期待してるのか知らないけど、何にもないからね。
三上さん、彼女いるよ。」
えっ、と、心底ビックリしたように、岬は目を見開いた。
そして、暫く何か考える仕草をして、ぽん、と手を叩いた。
「おねーちゃん、昨日泣いたのは彼のせいでしょ。」
ドキッ。心臓が跳ねた。
お…落ち着け私!隠さなくてもいいはずだけど、何だかつい。
タオルで髪を拭くことで表情を隠しつつ、気だるげに答えた。
「…泣いてなんかないけど。
あ、熱でてしんどくて泣いたかも。」
「………おねーちゃん、自分の顔、鏡で見た?」
「え?そんなに酷い?!」
うわぁ、そんなオバケ顔で病院行ったのか。恥ずかしい。
私は自分の顔をペタペタ触る。
鏡なんか見てない。そんな余裕なかった。
「…引っ掛かったね。やっぱりあの人が理由なんじゃない。
──何?失恋して泣いたの?」
───しまった…………