甘い運命
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──結局、洗いざらい話すことになってしまった…。
まだ熱は38℃を越えていて、正直だるくて、何を話す話さない、という判断がうまくついている気がしない。
でも、もう関係なくなるから大丈夫だと、私の感じたことそのままを語る。
話が終わる頃には、岬の眉間には深い皺が。
──うわぁ、怒ってる。
「おねーちゃん。」
「ハイッ。」
「…おねーちゃんの行動自体に色々言いたいことは、ある。
でも、それ置いといても、おねーちゃんの話のままだとしたら、その三上さんとやらは酷い人だと思う。
おねーちゃんみたいにウブな人捕まえてやることじゃない。
からかいも度を越してる。」
「……。でも悪気はないの、絶対。
三上さんは、そんな人じゃないから。天然なの。」
「天然だからって、そんな思わせ振りな態度取って、他に彼女作るなんて、歪んでるよ。
顔見たいって言ってたけど、会わせなくてよかった。
もう忘れちゃいなよ。
会社の接点も切れるんでしょ?
携帯も変えちゃってさ。
プライベートも会わないようにしたら、忘れられるよ!
あ、雅人さんに頼んで、誰か紹介してもらってもいいな。」
私の計画と大差ないことを言われて、改めてこれが正しいという確信を得た。
でも、紹介はいらない。
失恋したばかりで、心がボロボロだ。
少なくとも、今は無理。
岬にはそう言って、諦めてもらう。
「……でもね。ちょっと引っ掛かるの。」
岬が言い始めた。
「三上さん、本当に彼女いるのかな。」