甘い運命

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「え…何で?」

私は目の前で見たのに。
その話も、岬にちゃんとしたのに。

「…うーん、勘のようなものだけど。
ここへ来たときの必死な感じとか、会わせずに帰したときのガッカリした感じとか……

とにかく、『友達』って感じじゃなかったの。

あとね、…おねーちゃんの男友達ってさ、私とおねーちゃんが一緒にいると、私に関心持つことが多かったじゃない?」

「そりゃ、岬が美人だからじゃない。当たり前でしょ。」

「……そういうこと、嫌みとかじゃなく、しれっと言えるの凄いよね。

おねーちゃんの器の大きさは取り敢えず置いといて、あの人、多分私個人に一切関心持ってなかった。」

「えぇぇぇぇ!!あり得ない、こんな美人なのに!可愛いのに!自慢の妹なのに!!

三上さんめ……!」

「──いや、おねーちゃん、論点がかなりズレてる。」

頭が痛そうに、自分のこめかみをグリグリする岬。
自分が変なとこでキレているのがわかる。きっと熱のせいだ。

何だか可笑しくなってケタケタ笑っていると、岬がぱん、と手を叩いた。

「──ともかく!要するにね、逆を返せば、おねーちゃんには関心アリアリってことだよ?

それに、わざわざ家にまで来て、顔を見たがって、断られたらしゅんとして、とか。

……うーんやっぱり、よっぽど女好きで何股もできる人ならともかく、好きな女性がいて、更におねーちゃんにそういう行動ってできるもんなのかな?」

「──だって三上さんにとって、私たち友達だもん。

友達なら、心配くらいするよ。」

私は微笑んだ、と思う。
岬の方が、痛そうな表情をした。

「…とにかく、もういいの。
岬の言うとおり、関わらないようにするから。

心配かけてごめんね…」

「おねーちゃん………」

岬はまだ何か言いたそうだった。
でも、ふっと微笑んで、首を振った。

「おねーちゃん、とにかく、無理はしないで。

もうすぐ雅人さんが迎えに来るだろうけど、何かあったら飛んで来るから。

おねーちゃんは、私にとって太陽なんだよ。
いつでも元気で、楽しそうでいて欲しい。

だから、おねーちゃんが辛いときは、本当にすぐ駆けつけるから。たまには私を頼って。」

「ありがとう。いい妹を持って幸せだわぁ……」

たくさん話して、疲れたみたい。
私は強い睡魔に襲われた。

「…明日も来るから、ゆっくり休んで……」

岬の声を遠くに聞きながら、私は眠りに落ちていった──
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