甘い運命
1-42
うわっ、と声を上げて、咄嗟にドアを閉めようとした。
すかさず三上さんはドアの上部を掴み、足を当てて私の動きを止める。
「…何で閉めるの。」
不機嫌そうに私を見る目。
三上さんは全身から不機嫌さを醸し出しているのに、私の心も身体も、大好きな人に会えた喜びに歓喜しているのがわかる。
───嫌、やめて。
もう、関係ないって決めたでしょ、私。
自分自身に言い聞かせながら、口からは言い訳。
目線を自分の足元にさまよわせながら。
「──すみません、風邪をうつしちゃうかと思って。」
「そんなこと、どうでもいい。とにかく─大丈夫なのか?」
「はい、今朝やっと37℃台に下がったので。もう治るだけだと思──」
最後まで、言えなかった。
三上さんが、ドアの取っ手を掴んでいる私の手を外して私を強く引き寄せて玄関に入り、そのままぎゅっと抱き締めたから。
ガチャン、と、ドアの閉まる音がした。
灯りをつけていない玄関は、ひどく薄暗い。
混乱した頭と心は、軽いパニックを起こす。
──何?!何が起きてるの?!
動けない私の頭を右手で抱えて自分の胸に押し付け、左手で強く腰を抱く三上さんは、私の髪に唇をつけるようにして、とても切なくなるような声で話し出した。
「──っ、心配した。
都の身体も心配だったけど、何だかもう会えなくなるような気がして。
怖くて、昨日と一昨日は本当に一睡もできなかった。
都…………都…っ!」
更にきつく抱き締める三上さんに驚いて、上を見上げる。
余裕がない表情の三上さんの顔が、すぐ近くにあるのに気がついて、あわてて俯こうとすると、三上さんの右手が私の顎を掴み、それを許さない。
──キスされる!
彼女がいるのに!!
「嫌ッ!!」
私は思いっきり顔を逸らして、手で胸を押した。
まだ離してくれない三上さんを、いつの間にか泣きながら罵っていた。
「三上さん、彼女がいるのに、何故こんなことするんですか!
彼女さんに申し訳ないって思わないんですか?!
酷い、酷すぎる!!
私って、そんなにどうでもいい存在なんですか?
私が浮気とかそういうの嫌いだって知ってるのに、浮気相手にするんですか?!
私なら傷つけていいって思ってるんですか?!
いくらブスでも、キスはちゃんとお互い好きな人同士でしたい。
私のこと好きなんかじゃないのに、そんなことしないで!!」
「──好きじゃない?」
──三上さんの、冷々とした声が響いた──
すかさず三上さんはドアの上部を掴み、足を当てて私の動きを止める。
「…何で閉めるの。」
不機嫌そうに私を見る目。
三上さんは全身から不機嫌さを醸し出しているのに、私の心も身体も、大好きな人に会えた喜びに歓喜しているのがわかる。
───嫌、やめて。
もう、関係ないって決めたでしょ、私。
自分自身に言い聞かせながら、口からは言い訳。
目線を自分の足元にさまよわせながら。
「──すみません、風邪をうつしちゃうかと思って。」
「そんなこと、どうでもいい。とにかく─大丈夫なのか?」
「はい、今朝やっと37℃台に下がったので。もう治るだけだと思──」
最後まで、言えなかった。
三上さんが、ドアの取っ手を掴んでいる私の手を外して私を強く引き寄せて玄関に入り、そのままぎゅっと抱き締めたから。
ガチャン、と、ドアの閉まる音がした。
灯りをつけていない玄関は、ひどく薄暗い。
混乱した頭と心は、軽いパニックを起こす。
──何?!何が起きてるの?!
動けない私の頭を右手で抱えて自分の胸に押し付け、左手で強く腰を抱く三上さんは、私の髪に唇をつけるようにして、とても切なくなるような声で話し出した。
「──っ、心配した。
都の身体も心配だったけど、何だかもう会えなくなるような気がして。
怖くて、昨日と一昨日は本当に一睡もできなかった。
都…………都…っ!」
更にきつく抱き締める三上さんに驚いて、上を見上げる。
余裕がない表情の三上さんの顔が、すぐ近くにあるのに気がついて、あわてて俯こうとすると、三上さんの右手が私の顎を掴み、それを許さない。
──キスされる!
彼女がいるのに!!
「嫌ッ!!」
私は思いっきり顔を逸らして、手で胸を押した。
まだ離してくれない三上さんを、いつの間にか泣きながら罵っていた。
「三上さん、彼女がいるのに、何故こんなことするんですか!
彼女さんに申し訳ないって思わないんですか?!
酷い、酷すぎる!!
私って、そんなにどうでもいい存在なんですか?
私が浮気とかそういうの嫌いだって知ってるのに、浮気相手にするんですか?!
私なら傷つけていいって思ってるんですか?!
いくらブスでも、キスはちゃんとお互い好きな人同士でしたい。
私のこと好きなんかじゃないのに、そんなことしないで!!」
「──好きじゃない?」
──三上さんの、冷々とした声が響いた──