甘い運命
1-44
三上さんの胸の中で、ピキッと固まった。
何?!三上さん、何て言った?!
ドッ、ドッ、ドッ……すごく早くて大きな、三上さんの心臓の音。
それを聞きながら、先刻の言葉を反芻する。
…これは、嘘は言ってない…と、思う。
でも、金曜日のことは。
あれを恋人同士と言わずに何と言うのだろう。
「─でも金曜日…」
「あれは、部長に言われて、無理矢理槙原と見合いみたいなことをさせられたんだ。
槙原は得意先の専務の娘だから。
俺的には、いい機会だから、都に嫌がらせをするのを止めさせるために話をしようと思って行ったんだよ。」
ゆっくりと優しい声で、三上さんは説明する。
でも、じゃあ……
「……腕を組んで歩いていました。
恋人同士のように。
……三上さんも、笑ってました。」
三上さんは、ちょっと傷ついたような表情をした。
けど、すぐかき消して、淡々と語りだした。
「都も察してる通り、あっちは俺のことをずっと好きだったらしい。
俺がきっぱり断って、都に対する嫌がらせを止めるように言うと、交換条件として、金曜日に駅に送るまでの『恋人扱い』を提案してきた。
それで嫌がらせが止まるなら、都のためなら、我慢しようと思ってそれに付き合ったんだよ。
──誓って言うけど、俺からは槙原に触れていないし、手や腕以外は触らせてない。手も、触られてもこっちから握ったりはしていない。
正直、気持ち悪かったから。
帰りに駅まで送る時を見たんだろ?」
「はい……。」
「あまりの俺の反応のなさに、最終的には『諦めました』と言ってたよ。
───信じて、くれる?」
何?!三上さん、何て言った?!
ドッ、ドッ、ドッ……すごく早くて大きな、三上さんの心臓の音。
それを聞きながら、先刻の言葉を反芻する。
…これは、嘘は言ってない…と、思う。
でも、金曜日のことは。
あれを恋人同士と言わずに何と言うのだろう。
「─でも金曜日…」
「あれは、部長に言われて、無理矢理槙原と見合いみたいなことをさせられたんだ。
槙原は得意先の専務の娘だから。
俺的には、いい機会だから、都に嫌がらせをするのを止めさせるために話をしようと思って行ったんだよ。」
ゆっくりと優しい声で、三上さんは説明する。
でも、じゃあ……
「……腕を組んで歩いていました。
恋人同士のように。
……三上さんも、笑ってました。」
三上さんは、ちょっと傷ついたような表情をした。
けど、すぐかき消して、淡々と語りだした。
「都も察してる通り、あっちは俺のことをずっと好きだったらしい。
俺がきっぱり断って、都に対する嫌がらせを止めるように言うと、交換条件として、金曜日に駅に送るまでの『恋人扱い』を提案してきた。
それで嫌がらせが止まるなら、都のためなら、我慢しようと思ってそれに付き合ったんだよ。
──誓って言うけど、俺からは槙原に触れていないし、手や腕以外は触らせてない。手も、触られてもこっちから握ったりはしていない。
正直、気持ち悪かったから。
帰りに駅まで送る時を見たんだろ?」
「はい……。」
「あまりの俺の反応のなさに、最終的には『諦めました』と言ってたよ。
───信じて、くれる?」