甘い運命
1-5
ああ、何だか暖かくて落ち着く。
安心する、優しい石鹸の香り。
何の香りだっけ……私の使う洗剤の香りとは違うな……。
…うーん、ちょっと息苦しい……
!!
パチッと目が開く。
本当に驚くと、身体がビクッと跳ねるな。
妙に冷静な感じで考えたのは、危うく出そうになった叫び声を抑えるためだ。
何度か深呼吸する。
ふー、落ち着いてきたぞ。
しかし……ああ……やっちまった。
目の前の、三上さんの胸を見ながら思う。
いや、もちろん、慌ててるんですよ?
でも何となく、断片的に記憶がある。
酔ってしまって、フラフラで。
電車やタクシーに乗ったりしたら、吐きそうで。
三上さんの家が近いから、泊めてもらうことになった。
……うーん、迷惑かけちゃったな。
でも何でベッド?
私、リビングのソファに寝かせてもらったはずなのに。
ひょっとして、夜這いしちゃった?
ええと、服はちゃんと着てるから、何もないのは確定。
でも、三上さんに抱き締められた状況で、寝てる。
………………………。
……………………………………。
……トイレ行きたい。
考えるのを放棄して、三上さんの腕から出ようとごそごそ動いたら、起こしちゃった。
「……おはよ、都ちゃん。」
ドキッとしたが、そういえば昨日は途中から名前呼びだったと思い出した。
「おはようございます、三上さん。お手洗い貸して頂けますか?」
うーん、恥も何もないな私。
気分は後頭部をポリポリ掻いている感じだ。しないけど。
ふふっと笑った三上さん。
朝から寝乱れた髪型なのにイケメンだ。
イケメンすごいな。
「うん、こっちだよ。それと都ちゃん、プライベートは名前呼びしないとキスするよって言ったよね?」
ええッ!嘘、それは覚えてない!!
「いやいや、そんな約束してませんよ!
ていうか、むしろ三上さん的にはソレ罰ゲームでは?!」
…ジロッと見られた!
「いーや、約束した。破ったらキスとハグ。
都ちゃんが『距離を縮めましょう』って、名前呼び提案したんだぞ?
都ちゃんも『修一さん』って、何回も呼んだぞ?」
─────まじですか─────
ほらそこのアナタ、頭を抱える人なんて、そう見ることないでしょう。
ここにいますよ~!
誰に言ってるのかわからないけど、心の中で叫ぶ。
取引先の人に、何やってんだ私!
とにかく、謝ろう。謝って、なかったことにしてもらおう!!
「え…えーと、あのあの、大変失礼を致してしまったようで、更にご迷惑をお掛けしてしまったようで、本当にごめんなさいッ!!
昨夜のことは、色々と忘れて頂けますと有り難いでございます、えへへ。」
変な日本語で、何となく手をこすりあわせながら、可愛くないだろうけど上目遣いというやつで、三上さんを見る。
私の伺うような視線をちょっと不機嫌そうに受けてすぐ、三上さんはキッパリ一言。
「ヤダ。」
即答ですか!
安心する、優しい石鹸の香り。
何の香りだっけ……私の使う洗剤の香りとは違うな……。
…うーん、ちょっと息苦しい……
!!
パチッと目が開く。
本当に驚くと、身体がビクッと跳ねるな。
妙に冷静な感じで考えたのは、危うく出そうになった叫び声を抑えるためだ。
何度か深呼吸する。
ふー、落ち着いてきたぞ。
しかし……ああ……やっちまった。
目の前の、三上さんの胸を見ながら思う。
いや、もちろん、慌ててるんですよ?
でも何となく、断片的に記憶がある。
酔ってしまって、フラフラで。
電車やタクシーに乗ったりしたら、吐きそうで。
三上さんの家が近いから、泊めてもらうことになった。
……うーん、迷惑かけちゃったな。
でも何でベッド?
私、リビングのソファに寝かせてもらったはずなのに。
ひょっとして、夜這いしちゃった?
ええと、服はちゃんと着てるから、何もないのは確定。
でも、三上さんに抱き締められた状況で、寝てる。
………………………。
……………………………………。
……トイレ行きたい。
考えるのを放棄して、三上さんの腕から出ようとごそごそ動いたら、起こしちゃった。
「……おはよ、都ちゃん。」
ドキッとしたが、そういえば昨日は途中から名前呼びだったと思い出した。
「おはようございます、三上さん。お手洗い貸して頂けますか?」
うーん、恥も何もないな私。
気分は後頭部をポリポリ掻いている感じだ。しないけど。
ふふっと笑った三上さん。
朝から寝乱れた髪型なのにイケメンだ。
イケメンすごいな。
「うん、こっちだよ。それと都ちゃん、プライベートは名前呼びしないとキスするよって言ったよね?」
ええッ!嘘、それは覚えてない!!
「いやいや、そんな約束してませんよ!
ていうか、むしろ三上さん的にはソレ罰ゲームでは?!」
…ジロッと見られた!
「いーや、約束した。破ったらキスとハグ。
都ちゃんが『距離を縮めましょう』って、名前呼び提案したんだぞ?
都ちゃんも『修一さん』って、何回も呼んだぞ?」
─────まじですか─────
ほらそこのアナタ、頭を抱える人なんて、そう見ることないでしょう。
ここにいますよ~!
誰に言ってるのかわからないけど、心の中で叫ぶ。
取引先の人に、何やってんだ私!
とにかく、謝ろう。謝って、なかったことにしてもらおう!!
「え…えーと、あのあの、大変失礼を致してしまったようで、更にご迷惑をお掛けしてしまったようで、本当にごめんなさいッ!!
昨夜のことは、色々と忘れて頂けますと有り難いでございます、えへへ。」
変な日本語で、何となく手をこすりあわせながら、可愛くないだろうけど上目遣いというやつで、三上さんを見る。
私の伺うような視線をちょっと不機嫌そうに受けてすぐ、三上さんはキッパリ一言。
「ヤダ。」
即答ですか!