甘い運命

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「確かに、僕のせいで仕事でも都に迷惑をかけたし、女性が寄ってくることに、これから不愉快な思いをさせることがあるでしょう。

──これは、もう、完全に僕の我が儘です。

僕は、もう都を知ってしまったので。

都なしで生きていくことは、空気のないところで生きろと言われているようなものです。

もう、無理なんです。

だから、僕は喜んで気持ちも時間も言葉も尽くして、精一杯心配させないようにするでしょう。

完璧ではないかもしれない。
でも、僕ができることは全部する。
それは、約束すると断言できます。」

しっかりと岬の目を見て、静かに、だけど決意を滲ませた声で、修一さんは言ってくれた。

暫くじっと修一さんの目を見つめていた岬は、目を伏せて諦めたように口元を緩めた。

そして、私を見る。
その目は、とても優しくて。

「おねーちゃん、悔しいけど、大丈夫そう。
良かったね。」

岬の言葉に、わたしの目から涙が溢れだした。

私より、よっぽど男の人を見る目がある岬にそう言ってもらって。
何より、修一さんから、とても誠実な言葉をもらって。

とてもとても、心が暖かくなったから。

「─じゃ、後は三上さんに任せていいのかな?
私も息子が待っているから、もう帰るね。

おねーちゃん、早めに携帯どうにかして。」

言いながら、メモ紙を取り出して連絡先を書き付け、私に手渡す。

三上さんも財布を取り出して、自分の連絡先を書き付けた名刺を岬に渡した。

私と岬が?マークを飛ばしていると、修一さんがニヤリと笑って言った。

「僕も岬さんの連絡先を登録させてもらいます。

僕とケンカしたり誤解したりした都が頼るのは、岬さんのところでしょうから。
行方不明にはさせません。」

………何か、読まれていて落ち込む。

岬も『あーあ』という顔をした。

「…おねーちゃん、大変な人に捕まったね。
逃げ場ないよ。」

「………うぅ………」

「一生逃がしませんよ。ご心配なく。」

しれっと修一さんが言う。
岬がぷっ、と吹き出した。

「脅しなのかプロポーズなのかわかんないよ、おにーさん」

「もちろん早めに口説き落とすよ、岬ちゃん。」

「──本人を置いて話を進めないでぇ………」

私の呟きは、虚しく無視されるのだった……
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