甘い運命

2

広々とした明るいリビング。

ナチュラルテイストなのは、可愛い雰囲気のお母さまのご趣味だろう。

窓の近くに、コの字型にソファセットが並んでいる。
一人掛けのソファが2つ並んでいて、片方に座っているのは、修一さんのお父さま。
お母さまが横に座るようだ。ひとつ席が空いている。

テーブルを挟んで三人掛けのソファに、修一さんが座って私を手招きしている。

その2つを繋ぐように置かれているソファには、弟の玲二さんと、妹の杏花さんが座る。
あからさまに興味津々といった風に、私を見ている。

う…美形が集まりすぎて過ぎて、目眩がする…

「都、早くおいで。紹介するから。」

クラクラしている私の手を引っ張って、ソファに座らせる修一さん。

同時に、お父さまに向き直った。

「父さん、こちら橋本 都さん。
俺が今付き合ってて、結婚する人」

無駄の一切ない説明だ!
無駄がなさすぎて、お父さまたちが何か言う隙がない!
私はあわてて頭を下げた。

「はじめまして、橋本 都と申します。
修一さんとお付き合いさせていただいています。

今後ともよろしくお願いします。」

色々考えていた挨拶は、ふっ飛んでしまった!
あわあわしている私の頭を、修一さんが優しく撫でる。
優しい目で見つめながら。

「都、そんなに固くならなくて大丈夫。
皆、歓迎してるから。」

「えっ、でっ、でも…」

恐る恐る目線を上げると、皆さん驚愕の表情で固まっている。
お母さんは、コーヒーを乗せたトレイを持ったまま、直立不動だ。

え、私、何かやらかした?!

最初に呪縛から解けたのは、お父さまだ。
ごほん、とわざとらしく咳をしてから、私に向かって微笑んだ。

「よく来てくれたね、都ちゃん。

これからも、修一と仲良くしてやってください。
僕たちともね。」

「は…はいっ、もちろんです!

こちらこそ仲良くしていただけると、とっても嬉しいです!」

緊張してて、大きな声で返事をしてしまう。

その様子に皆が笑ってくれて、やっと場が和やかになった。
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