じじぃのぼやき
「言う通りじゃ。
 世の中には、
 何を言うても聞けん、
 わからず屋がおる。

 ある時 突然
 
 ひとりぼっちに
 
 気付く前に
 譲ることも覚えにゃな」

「歌は好きじゃ。

 歌うのも、
 聴くのも、
 歌うたいを見るのも。
 
 五臓六腑に染み渡る、

 あの感じがええのぅ。」

「我先に、
 逝かんばかりと、
 生き急ぐことは
 なかったろうにのぅ。」

「若い頃はの、

 生きることとは
 なんぞや…と
 苦しかったのぅ。

 正直、今も
 そんなもん
 わからせん。

 ただ、苦しくは
 無くなったのぅ。
 
 答えをどっかで
 見つけたのかも

 知れんのぅ。」


「後になってみらんとな、
 見えないもん
 ちゅうのが ある。
 
 あんたの言う罪。

 じじぃはボケとるでの。
 忘れてしもうたわ。
 
 まだまだこれからじゃ」

「どうしても、
 我慢できんと言うなら、 突っ走ればええ。
 
 目の前の
 確信してるもんが、

 たとえ
 消えたとしても、
 自分を信じる自信が
 あるんじゃろ?
 
 なら、行け。
 
 潔く、
 走ってみせてみぃ。」
< 2 / 27 >

この作品をシェア

pagetop