曇り、ときどき雨。君に、いつでも恋。
「コッハル~!!!おっはよーーーー!」
アイちゃんが、田代くんのことが好き、とあたしに言ってくれてから、1ヶ月が経った。
もう7月に入って、
空気はすっかり夏。
日差しは強くて、
通学だけで汗がびっしょりなっちゃうほど。
アイちゃんは、
田代くんとはたまにラインをしてたくらいで
これといった進展はなかったみたい。
あたしは、バイトにもすっかり慣れた。
今井さんにはあれから1度もほめられることなく、
時々注意されてるから
あの日が超レアだったっぽい。
なんであたしへの注意はずっと続いてるのかわかんないけど、まあいいか、って思っちゃってる。
でも・・・。
嫌われてるからなのかなって思うと、辛い。
期末テストも昨日終わって、今日は答案返却日1日目。
アイちゃんが
ハイテンションであたしに挨拶してきた。
田代くんのことで、絶対何かあったなこりゃ。
「あー、田代くんと何かあった?」
「え、な、なんでわかんの!?えぇーーーーー
コハル、エスパー??」
アイちゃんは、豆鉄砲くらったみたいな顔をした。
いや、きみ、分かりやすすぎなのだよ。
「アイちゃん今日すごくテンション高いから。」
「う、そうかーー。
うん、まあそうなんだけどね。
あのねっ。
田代くんと話してたときにあたしが、
バッシュ買いに行かなきゃ~、って言ったら、
ね、
ねっ!!!!
ここからめっちゃ大事だからね!!!
よく聞いててよっ!?
田代くんが、
『俺もちょうど買いにいかなきゃいけないから、答案返却の日でオフの日に行く?』って、言ってくれたの!!!!!
どうしよ、嬉しすぎる!!!!!!」
いわゆる
小顔ポーズをしながら夢見る乙女みたいな目をしているアイちゃん。
幸せオーラが全開。
マンガとかだったら、
まわりにハートがいっぱい飛んでそうな感じ。
って、いいなあ。
めちゃくちゃ順調じゃん。
「すごい!すごいじゃんアイちゃん!!
がんばれ!!すごく調子いいじゃん!!!」
「うん、ほんとに嬉しい~~~~~~~~!」
わあーっとあたしにアイちゃんが抱きついてきた。
うん、なんか飼い主になついているペットみたいで
すごく可愛い。
恋する女の子は可愛いって言うけど、
すごく共感できる。
だって、田代くんの話をしてるときのアイちゃん、
いつにも増して可愛いもん。
「中島くんにも報告したら??」
「そ、そうだね。協力してもらってるし。」
「中島ぁ~~~」
アイちゃんは中島くんのところに駆け寄っていった。
アイちゃん、すごく幸せそう。
羨ましい。
あたしにはそもそも、好きな人がいないからなあ。
彼氏とか以前に、だれかを好きになりたいな。
って、言っても、こういう、恋とかを、
あたしは探しに行きたくはないんだよね。
だから例えば、将来、
合コンとかはしたくないかなっていうか。
自然に降ってきてほしい、っていうのかな。
自然に、普通に生活しているうちに、
その日常の中の誰かを好きになって、恋したい。
そんなこと言ってるからだめなのかもしれないけど。
あたしの恋愛観は、
そんな感じ。
だからアイちゃんみたいなのが、すごく理想。
アイちゃん、うまくいくといいな。