曇り、ときどき雨。君に、いつでも恋。
「いらっしゃいませ。」
カフェに足を一歩踏み入れると、
涼しい空気があたしの頬をかすめた。
はー、気持ちいい。
生き返るー!!!
店内はそんなに混んでいなくて、
席はそこそこ空いてたから
抹茶オレを買ってから席に着いた。
勉強でもしようかな。
カバンから勉強道具を取り出しながらぐるっと辺りを見回す。
ゆったりした曲調の音楽に、食欲をそそるいいにおい。
にこやかに接客する店員、
せっせと食べ物を用意する店員、
談笑する客。
ここのカフェはじめて来たけど、
落ち着いてていいな。
何かあったらまた来よっと。
ペンケースを取り出してガチャガチャとシャープペンを取り出しているとき、
隣のとなりのテーブルに目が止まった。
ここの近くの高校の制服を着た女の子と、
その向かいに座って女の子と話しているのは、
今井、さん・・・?
・・・・・え。
うわ、こういうところで会っちゃうとか・・・。
なんだか勝手に気まずくなって、
手元のノートに目を落とした。
あの女の子と、どういう、関係?
今井さんは相変わらず無愛想だった。
でも、別に嫌そうな感じではなくて、
めんどくさそうにしてる感じ。
あの女の子とは、親しそうだった。
女の子の様子からして。
今井さんも、なんか慣れた感じに見えるし。
初対面とか、最近知り合ったばかり、
っていうふうには見えなかった。
・・・・・・・かのじょ、とか?
会話の内容は全然聞こえなくて、
ふたりの関係はよくわからない。
でも、プライベートでもこんな感じで無愛想なんだ、
ってことがわかって、ちょっと嬉しくなった。
けど・・・・、
それ以上に、何て言ったらわかんないけど、その女の子が羨ましくて、
なんか、ふたりを見ていたくなかった。
・・・・・席、うつりたいけど立ったら気付かれそうだし。
どうしよ。
あたしがひとりでくよくよ考えているうちに、
女の子が席を立って店を出ていった。
なんかさらに、気まずくなった気がするんですけど。