曇り、ときどき雨。君に、いつでも恋。
今井さんは女の子が店を出ていってからもひとりでカフェにいて、
あたしがちらっと見たときには文庫本を読んでいた。
なんの、本だろう?
気になる。
タイトルは見えなくて、ひとりでつい勝手に想像してた。
ミステリー?歴史もの?純文学?
あたしの今井さんに対するイメージ的には、そんなものが当てはまりそう。
・・・・恋愛小説とかだったら、なんかギャップ感じる。
それからあんまり勉強には集中できなくて、
(もちろん、ふたりのことを考えちゃうせいで)
あと30分くらいしたらバイトに向かおうとしたとき、今井さんが席を立った。
店の出口に向かうのかと思いきや、
あたしの方に向かって歩いてきた。
え?なんで?
内心、動揺するあたしをよそに、今井さんはあたしのそばを通りすぎた。
足音が遠ざかるのを確認してそっと振り返ると、
今井さんはトイレに入っていくところだった。
・・・・・なんだ、良かった。
あたしに気づいてないと思うし、気づいてても話しかけるわけないよね。
ほっとしながらも、実はちょっとがっかりしてる自分がいた。
あたし、今井さんと話したいの?
自分でも、自分のことがよくわからない。
あたしが、どうしたいのかよくわからない。
もうちょっとしたら
バイト行かなきゃいけないんだから
勉強に集中しろ、あたし。
と、今更遅すぎる気合いを入れてシャーペンを握りしめたとき、
「ちょっと。」
後ろから声をかけられた。
うっ。今井さんに、気づかれたか。
「は、はい。」
うわー・・・・・・、気付かれちゃったよ・・・・と思いながら、
でも心のなかで小躍りしている自分に驚きながら、振り向いた。
「それ、ちょっと見せてほしいんだけど。」
今井さんは、あたしのテーブルの上を指さした。
「その、古典の教科書。」
こ、古典?
な、何で?
疑問に思いながらも、
古典Aの教科書をとって、今井さんに手渡した。
「どうぞ。」
今井さんは
パラパラページをめくって、ときどきじっくり見ながら、
ひととおり目を通し終えてから
あたしに返した。
「ありがと。
あとここの文法、間違ってる。
打ち消し、じゃなくて、完了。」
そう言って、あるページの中のあたしの書き込みを指さした。
あたしが今、2学期の予習としてやってたところだ。
「ありがとう、ございます。」
「ん。
またあとで。」
うわ。
え。
古典、得意なのかな。
パッと見ただけでわかるって、相当なれてないとできないと思うんだけど。
大学生、なら、大学で古典の分野を専攻してるのかな。
というか、教科書見せて、って、どうして言ったんだろ?
ちょっと考えてみたけど、全然わからない。
というか、
仕事以外の話をしたの、初めて。
それに、
またあとで。って、嬉しいかも。
ちゃんとバイト仲間として認識されてる感じがして。
今井さん、今日もバイトってことか。
う、うわー・・・・・。
なんであたし、こんなに嬉しいんだろ?
おかしいくらい、舞い上がってる。あたし。
頭の中は、今井さんのことで埋め尽くされている感じがする。
本当に、どうして?
あたしがちらっと見たときには文庫本を読んでいた。
なんの、本だろう?
気になる。
タイトルは見えなくて、ひとりでつい勝手に想像してた。
ミステリー?歴史もの?純文学?
あたしの今井さんに対するイメージ的には、そんなものが当てはまりそう。
・・・・恋愛小説とかだったら、なんかギャップ感じる。
それからあんまり勉強には集中できなくて、
(もちろん、ふたりのことを考えちゃうせいで)
あと30分くらいしたらバイトに向かおうとしたとき、今井さんが席を立った。
店の出口に向かうのかと思いきや、
あたしの方に向かって歩いてきた。
え?なんで?
内心、動揺するあたしをよそに、今井さんはあたしのそばを通りすぎた。
足音が遠ざかるのを確認してそっと振り返ると、
今井さんはトイレに入っていくところだった。
・・・・・なんだ、良かった。
あたしに気づいてないと思うし、気づいてても話しかけるわけないよね。
ほっとしながらも、実はちょっとがっかりしてる自分がいた。
あたし、今井さんと話したいの?
自分でも、自分のことがよくわからない。
あたしが、どうしたいのかよくわからない。
もうちょっとしたら
バイト行かなきゃいけないんだから
勉強に集中しろ、あたし。
と、今更遅すぎる気合いを入れてシャーペンを握りしめたとき、
「ちょっと。」
後ろから声をかけられた。
うっ。今井さんに、気づかれたか。
「は、はい。」
うわー・・・・・・、気付かれちゃったよ・・・・と思いながら、
でも心のなかで小躍りしている自分に驚きながら、振り向いた。
「それ、ちょっと見せてほしいんだけど。」
今井さんは、あたしのテーブルの上を指さした。
「その、古典の教科書。」
こ、古典?
な、何で?
疑問に思いながらも、
古典Aの教科書をとって、今井さんに手渡した。
「どうぞ。」
今井さんは
パラパラページをめくって、ときどきじっくり見ながら、
ひととおり目を通し終えてから
あたしに返した。
「ありがと。
あとここの文法、間違ってる。
打ち消し、じゃなくて、完了。」
そう言って、あるページの中のあたしの書き込みを指さした。
あたしが今、2学期の予習としてやってたところだ。
「ありがとう、ございます。」
「ん。
またあとで。」
うわ。
え。
古典、得意なのかな。
パッと見ただけでわかるって、相当なれてないとできないと思うんだけど。
大学生、なら、大学で古典の分野を専攻してるのかな。
というか、教科書見せて、って、どうして言ったんだろ?
ちょっと考えてみたけど、全然わからない。
というか、
仕事以外の話をしたの、初めて。
それに、
またあとで。って、嬉しいかも。
ちゃんとバイト仲間として認識されてる感じがして。
今井さん、今日もバイトってことか。
う、うわー・・・・・。
なんであたし、こんなに嬉しいんだろ?
おかしいくらい、舞い上がってる。あたし。
頭の中は、今井さんのことで埋め尽くされている感じがする。
本当に、どうして?