曇り、ときどき雨。君に、いつでも恋。


店の外で待ち伏せってちょっと気持ち悪いけど、
そうするしかないよね。


最後だし、仕方ないよね。


そう思って休憩室から出ようと
ドアを開けようとしたとき反対側からドアが開かれた。


今井さん、だ。



ドアのすぐそばにいたあたしを見て
少し驚いた顔をしたあと、
口を開いた。


「大丈夫か?」


顔はいつもの不機嫌なままだったけど、
口調には優しさが含まれていた。


「はい。

今井さんのおかげで。



すみません、
私のせいで面倒なことに巻き込んでしまって。」


「それは、全然気にしてない。


・・・ごめん、答えたくなかったらいいけど、


別居してるの?」


今井さんは、おそるおそると言った感じで
聞いてきた。


「はい。


私が中学生の時に親が離婚して、
それから今日まで会ったことなかったんですけどね・・・。」


本当になんで、よりによって、今日なんだろう?


「・・・・・・バイトも、そのせい?」


今井さん、ずいぶん鋭い。

いや、意外と普通にわかるかもな。


「はい。そうですね。」

今井さんは、ふーっと息をついてから話始めた。



「佐藤さん、ここに入ってきて、


ほかの高校生とは全然違う、って思ってたけど、


そういうこと、だったんだな。」


全然違う、


っていうのは、
それは、ほかの高校生より働いてたってことですか?
それとも、地味ってことですか?
それとも、シフトをすごくいれてたってことですか?


最初のだったら、すごく、嬉しい。



「はい。そういうこと、ですね。」


今井さんは黙ったまま、
なにかを迷っているように見える。


「さっきは本当にありがとうございました。

前も助けていただいたし、
いつもご迷惑おかけして、
すみません。」




それと、

いつも。

片想いしてて。

すみません。

心の中でそっと付け加える。


「・・・・・。


別に、迷惑とか思ってないし、


また今日みたいなことあったら、助けるから。


だから、

その、

ひとりでなんでも頑張んないでほしいっつーか。


まあそういうことだから。」


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