曇り、ときどき雨。君に、いつでも恋。
「ただいまー」
「おかえり、
夜遅くまで大変ね。
いいのよ、無理しなくても。」
家に帰ると、ママが心配そうな顔をしてあたしを出迎えてくれた。
「無理なんてしてないから、大丈夫。
ママだって、疲れてるもん。
ね、それより、今日の夕ごはん、なに??」
「コハルは学校行って勉強して、
バイト夜遅くまでしてるんだから、
コハルの方が大変よ。
あ、夕ごはんね、今日はオムライス作ったの。
コハル、好きだよね。
今、温めるから待ってて!」
「オムライスっ!?
やった~~~~~~~~!!!」
「ふふ、喜んでくれて良かったわ」
ママの作るオムライスはあたしの大好物なの!
まわりの少しトロトロした卵と、中のケチャップライスの相性がもう絶妙!!!
部屋着に着替え終わって駆け足でダイニングに向かうと、いいにおいが漂ってきて、
あたしの食欲を掻き立てた。
「おいしそう~~~!!!
いただきまーす!!!!!!」
大きな口を開けて、ぱくり。
「おいしい~~~~~~~~~~!!!」
あーもう、さいっこう!!!
生き返る~~~~!!!
「良かったわねぇ。
コハル、
学校は、どう?」
「んー、
まだアイちゃんとしかたくさんは話してないけど、少しずつ他の人とも話してるかな。
みんな優しそうでいいクラスだと思う」
夕食の時間は、ママとお話しする貴重な時間。
ママはあたしが起きる前に仕事に行っちゃうから
朝は会えないし、夕食食べ終わってからはお風呂入ったり勉強したりしないといけないから、
この時間があたしにとってすごく大切なの。
「そうなの。
ひとまず安心ね。
あと、バイトは、どう?
大変でしょう?
コハルがバイトしなくても、うちは大丈夫よ?」
「まだ2日目だからあんまり慣れないけど、
楽しいから大丈夫。
ママが心配することなんて、なーんにもないよっ!」
あたしはママに向かって、にこっと笑って見せた。
ふと今井さんの不機嫌そうな顔が頭に浮かんできたけど、慌ててシッシッと頭の隅に追いやった。
あたしの家は母子家庭だから、
ママが毎日毎日朝早くから夜遅くまで働いてて、
ママはあたしに気をつかって、大丈夫とか言ってるけど、家計が苦しくないわけじゃない。
それを見てたから、高校生になったら絶対バイトして、少しでもママを助けたいって思ってバイト始めたの!
ただお小遣いがほしくて校則破ってるわけじゃないんだからね!?
「せめて、もう少しシフト減らしたら?」
「だーかーらー、大丈夫だってば!
ママは心配しすぎ!」
あたしはママに向かってむうっと頬を膨らませた。
「・・・ありがとね。コハル」
ママは優しく笑ってあたしのことを見た。
「ううん。ママも、無理しないでね?」
ごちそうさまでした!!!
今日も美味しかったです!
じゃあお風呂、入ってくるね」