王子と私の恋愛事情。
「お前ら、俺の彼女になんの用?」
そう私の後からドスの効いた低い声がする。
この声…。
目の前の大きな背中。
背が高くて、金髪の髪の毛。
嵯峨くん。
「な、なんだよ、彼氏持ちかよ。
お前ら帰んぞ」
とそそくさと帰って行った。
「さ、嵯峨くん。ありがとう」
また助けてもらっちゃった。
「おう。莉奈も気をつけろよな。」
そう言って腰抜けた私の手を取り立たせてくれた。
「嵯峨くん…ヒーローみたいだね。」
「どうした?頭でも打ったか?」
嵯峨くんは私と目を合わさないままそういった。
小さい頃助けてもらって…
階段から落ちかけた時も…
女の子に追いかけられた時も…
それから今も。
「私ね、小学生だった頃1回だけ嵯峨くんに会ってるんだ、遊具から落ちかけた私を助けてくれた。」
勇気出して聞いてみた。
「………覚えてねぇよ、んな昔の話。」
期待した私の気持ちは一気に崩れ落ちた。
だよね。
あんなちょっとした一瞬のこと嵯峨くんからしたらなんて事無いこと。
「ご、ごめん困らせちゃったね。
帰ろっか?」
そう言って荷物をまとめて嵯峨くんに背を向けた。