王子と私の恋愛事情。
次の瞬間背を向けたはずなのに私の視界はキレイすぎるほど整った顔で埋め尽くされてた。
「……へ?」
「っ!?……ごめ…」
がばっと私から離れた嵯峨くんは口元に手をあてる。
「えと…今のって…。」
まだじんわりと暖かさを残す唇を指で触る。
…キス。
突然の事で理解するのにかなり時間がかかった。
『好きになりそうって言ったらどうする?』
ハッと昨日言われた事を思い出す。
でもあれは冗談だって…
でもそれならこのキスは?
「……冗談に決まってんだろ!?
仮にも彼女なんだからキスしたって変なことじゃねぇだろ。」
やっぱり…
そんな気はしてた。
「仮って……仮だからそんな思わせぶりな態度でいいの!?
私の事何にも考えないで、嵯峨くんほんっと最低…。
も仮の彼もも今日でおしまいにしよ?」
私はそのまま逃げ出した。
そこに居たら泣いちゃいそうで。