王子と私の恋愛事情。
「ごめん。…怖かったよな。」
我に返った晶は頭を抱えた。
「うん…ちょっとだけ…」
いつもマイペースな晶が初めて見せた男の1面。
それが晶じゃないみたいで怖かった。
「晶はさドキドキとかしないの?
ずっと真顔だし…体目当てだったり。」
「それだけは絶対ない。
ちょっと来て」
そう言われて晶のそばに行くとそっと抱き寄せられて自分の胸に私の耳をあてる。
"ドクンドクン"
晶の胸は私なんかよりずっと早く動いてた。
「莉奈と喋り始めてからずっとドキドキしてる。
俺、本気で莉奈が好き。
好きすぎて、あいつに取られるのが怖いんだ。」
その言葉に私の鼓動も早くなってくのがわかる。
晶は本気で私の事好きなんだ。
「やっぱりまだ晶を彼氏としては見れない。
…でもね、言いそびれたけど。
嵯峨くんとは仮のカップル終わりにしたから。」
一瞬落ち込んだ表情を浮かべた晶はその言葉に笑顔になった。
「じゃ、まだ俺にもチャンスあるよね。
莉奈に好きになってもらえるように頑張るから、それまで待ってて。」
まっすぐ私を見つめながらそう宣言した。
晶の黒く澄んだ目に引き込まれそうになった。