王子と私の恋愛事情。
「嵯峨くん?起きてる?」
「………寝た。」
机に突っ伏したままの嵯峨くんから少し眠たそうな声が聞こえてくる。
起きてるくせに…
「あのさ、嵯峨くんと本当のカップルになるのはまだできないんだけど…」
「何それ、俺の心の傷えぐってる?」
いじけた風の声が聞こえてくる。
「ご、ごめん。やっぱり何もないよ」
こんな事言っちゃきっと嵯峨くんを傷つけちゃう。
「めちゃくちゃ気になるんですけど…
言いかけてやめるのなし。」
ムクっと起き上がると私の方に向き直った。
でも言ったらまた嵯峨くん傷つけちゃうし、自分勝手って思われるかも。
それでも私は本当に乃愛が言ってるみたいに嵯峨くんが好きなのか確かめたい。
「あのさ、私からやめるって言っといて嵯峨くん怒るかもだし、告白されてるのにこういうのもどうかと思うんだけど…
嵯峨くんの仮の彼女としてもう1回やり直してもらえないかな。」
「…………」
あ、やっぱり黙り混んじゃった。
キョトンとしたまま動かないのを見て罪悪感が湧いてきた。
「ご、ごめん。傷つけちゃったよね。」