君の笑顔は眩しく、ときどきせつない
「ありがと!」

彼女は静かにページをめくり始めた。
そして、5回ほどめくったときに彼女の手は止まった。



「わたし、この絵が好き。」



彼女が差し出した絵は、
校庭で芳樹が自主練をしてる姿だった。


「疾走感があって、芳樹の眼差しもすごく素敵だ。タッチも、優しくて。影の付け方も。」

そんなに言われたのは始めてだった。
いや、絵に自信がなかったし、
誰にも見せられなかった。


「君…才能あるよ!!!わたし、この絵に運命を感じた!大好きだ!!君は芸術家になるべきだよ!なにサッカーなんてやってるのよ!」

彼女は言いたいことを

息継ぎもせずに
すべて吐き出した。


「決めた!わたし、君を、未来へ連れてく!」

「は!?」


永澤は目をキラキラさせて俺をまっすぐに見た。

< 51 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop