君の笑顔は眩しく、ときどきせつない
少しも目をそらさない俺に
永澤李与は呆れたように見えた。
「どうしたの?急に。冷めちゃうよ、ラーメン」
「ぶっかけそばだからもともと冷めてる。」
「あ、そっか。」
その言葉は、いつもの彼女じゃなかった。
俺の前にいるのは、永澤李与なんだ。
「話をそらすほど、君にとっては消したい過去なのか。」
「麺、のびるよ?」
12.3秒ぶりに永澤李与と目があった。
「だから、ぶっかけそばなんだ。」
「あぁ、そうだったね。」
目があっていた時間は2.6秒、たったそれだけ。