男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
「……ありがとうございます」


 
早く治すことがアベルに迷惑をかけない唯一の方法だろう。しかし、もう侍従見習いとしてアベルに教わることが出来ない。
 
男女を偽っていたことをクロードに話し、罪を償うべきだろう。そう思うと怖いのだが。

 

翌日、ミシェルの熱は下がったものの、咳が止まらなかった。


(やっぱり今日お休みさせてもらってよかったのかも……陛下に移してしまうわけにはいかない)
 

ミシェルはベッドで大人しくしていた。
 
しかしなにもすることがないミシェルは失くしてしまった髪飾りを頻繁に思い出してしまい、気づくと泣いていた。
 
朝昼晩とベアトリスが様子を見に来てくれた。薬も与えられ、夜には喉の痛みが楽になり、ミシェルはホッと安堵した。


(明日には治っている)
 

ミシェルは明日、国王に自分が犯した罪を告白しようと決めていた。



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