男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
翌朝、アベルと共にクロードの私室に入る。

いつものように居間にクロードがいるものと思っていたが、今日は姿が見えない。


「フランツ、寝室へ様子を見てきてくれないか?」

「えっ? わ、わかりました」


(まだ寝ていたらどうしよう)
 

うら若き乙女が成人した男性が寝ている部屋へ行くのは躊躇してしまう。掃除する時の寝室でも、胸がドキドキ暴れてしまうミシェルだ。


(私は男。動揺しないで行かなきゃ)
 

ミシェルはそろりとクロードの寝室へ足を進めた。
 
寝室の扉を静かに叩き、ミシェルは声かける。


「陛下……お時間でございます」
 

そしてもう一度、扉をトントンと叩く。だが、返事がない。


「……失礼いたします」
 

ミシェルは扉を開けて、寝室へ入室した。

重いカーテンがほんの少し開いており、そこから朝日が入りこみ四柱式のベッドに当たるおかげで様子がわかった。
 
四柱式のベッドの上質な薄布のカーテンは降ろされていない。クロードが起きている気配はなかった。


「陛下……おはようございます」
 

暴れる心臓を意識しないようにして、ミシェルはベッドに近づいた。





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