男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
「陛下、陛下、僕は男です。離してください」


(じょ、女性だと勘違い……寝ぼけているのかもしれない。目が覚めて腕の中にいるのが男だと知ったら、驚かれるだろう)


ミシェルは懸命に頼むが、グイッと引き寄せられてしまう。


(こんなところ、アベル侍従にだって見せられない。それに抱き心地で女性だとバレてしまうかもしれない)


「へ、陛下っ!」
 

ミシェルは力いっぱい、クロードの腕から逃れるように身体を起こそうとした。以外にも起き上がれて、ミシェルは振り返る。
 
クロードは目を開けて「クッ、クッ、クッ」と笑っていた。


「陛下っ! お、おはようございます!」


ミシェルは慌ててベッドから降りて立ち上がった。クロードへ挨拶する声がうわずっている。
 
クロードも身体を起こした。


「フランツ、着替えを」
 

まるで寝起きとは思えないほどすっきりした表情と声だ。


「は、はいっ」
 

恥ずかしいのを隠しミシェルはチェストの上に用意して降りた着替えがのったトレーを抱えた。


「なにをやっている? 一枚ずつ渡せ」
 

クロードはガウンのような寝着を脱ごうとしていた。ミシェルは急いで目を逸らす。


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