男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
それからミシェルは毎朝、クロードを起こすことになった。

すでに四日間、クロードの寝室へ入り、起床の言葉をかける。だが、寝ぼけているのか、クロードはミシェルをベッドに引き込む。
 
ミシェルも五日目になると、クロードに抱き込まれてしまわないように警戒し、ベッドから離れて起こす。しかし、まったく目覚める気配がない。

起こさなければならないミシェルは仕方なくベッドに近づき、ぐっすり眠るクロードに顔を近づけ声をかける。そしてミシェルが用心していたことが起こってしまう。


(本当に寝ぼけているの……? わざとだとしたら……? 私が女だとわかっている……?)
 
いや、そんなわけないと、ミシェルは首を左右に振る。騙されていることを許す国王だと思わない。
 
ベッドに見目麗しいクロードの寝顔を見て、心臓を高鳴らせてしまうミシェルだが、今日も不意打ちに抱き込まれてしまうのだった。


「陛下、お目覚めの時間です」

「ん……」

「陛下、お茶の用意をアベル侍従がしております」
 

そう言いつつミシェルの鼓動はドクドク波打つ。抱き込まれるのは何回されてもなれない。


「お前の心臓の音がうるさいから目が覚めたぞ」
 

クロードの言葉にミシェルはハッとなって身体を跳ねさせた。


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