男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
「義兄上にバラをやる約束をした覚えはないが?」
怒りを堪えているのか、いつもより低めのクロードの声だ。
「たしかにお約束はありませんが、昨日そこの侍従見習いが摘んでおりましたので問題ないと思いました」
そこの侍従見習いと口にされ、ミシェルは息を呑む。
「フランツ、昨日ここで義兄上に会ったと報告がなかったが?」
クロードの射るような瞳がミシェルに向けられた。
「もうしわけございません。ご報告をするのを忘れていました……」
指の傷の手当などで、話す機会を失ったのが原因だ。
「陛下の侍従見習いはバラにも引けを取らなく、実に可憐だ」
わざと可憐と言ったのだろうか。ミシェルの肩がギクッと跳ねる。
「義兄上は言葉を勉強した方がいい。男に可憐とは使わない。そのバラをどうする気ですか?」
クロードは一蹴し、年老いた侍従の持っている籠へ視線を向ける。籠の中は赤いバラがこんもり盛られている。中には花の原型をとどめておらず、花びらも見える。
年老いた侍従は顔を上げられない状態でずっといた。
怒りを堪えているのか、いつもより低めのクロードの声だ。
「たしかにお約束はありませんが、昨日そこの侍従見習いが摘んでおりましたので問題ないと思いました」
そこの侍従見習いと口にされ、ミシェルは息を呑む。
「フランツ、昨日ここで義兄上に会ったと報告がなかったが?」
クロードの射るような瞳がミシェルに向けられた。
「もうしわけございません。ご報告をするのを忘れていました……」
指の傷の手当などで、話す機会を失ったのが原因だ。
「陛下の侍従見習いはバラにも引けを取らなく、実に可憐だ」
わざと可憐と言ったのだろうか。ミシェルの肩がギクッと跳ねる。
「義兄上は言葉を勉強した方がいい。男に可憐とは使わない。そのバラをどうする気ですか?」
クロードは一蹴し、年老いた侍従の持っている籠へ視線を向ける。籠の中は赤いバラがこんもり盛られている。中には花の原型をとどめておらず、花びらも見える。
年老いた侍従は顔を上げられない状態でずっといた。