男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
「こ、これをですか?」
厚みはいつも食べるふっくらした丸いライ麦パンくらいで、かなりの重みがある本だ。
装丁が美しく汚れなどは見られないが、かなり年季の入っているように見える。
「侍従になるには教養も必要だからな。しっかり読んでおけ」
「はいっ!」
侍従見習いをいつまで続けられるのかミシェルにはまったくわからないが、クロードに認めてもらった気分になり嬉しかった。
「ありがとうございます!」
ミシェルは本を胸に抱えて寝室を出た。弾む気持ちを表しているのか、後ろでひとつに結わかれたシルバーブロンドの髪が左右に大きく揺れている。
その後姿を見ていたクロードは笑いを堪えていた。
(どう見ても女だな。初めて見た時に気づかなかったとは……)
扉が静かに閉まり、クロードはごく普通の政務服を手にして着替えを始めた。
今夜は舞踏会。社交界シーズンの始まりの舞踏会は地方の領主や町に住む上流貴族の楽しみである。
この日を狙って地方からやって来た領主たちとの謁見が行われ、いつもより多忙である。
厚みはいつも食べるふっくらした丸いライ麦パンくらいで、かなりの重みがある本だ。
装丁が美しく汚れなどは見られないが、かなり年季の入っているように見える。
「侍従になるには教養も必要だからな。しっかり読んでおけ」
「はいっ!」
侍従見習いをいつまで続けられるのかミシェルにはまったくわからないが、クロードに認めてもらった気分になり嬉しかった。
「ありがとうございます!」
ミシェルは本を胸に抱えて寝室を出た。弾む気持ちを表しているのか、後ろでひとつに結わかれたシルバーブロンドの髪が左右に大きく揺れている。
その後姿を見ていたクロードは笑いを堪えていた。
(どう見ても女だな。初めて見た時に気づかなかったとは……)
扉が静かに閉まり、クロードはごく普通の政務服を手にして着替えを始めた。
今夜は舞踏会。社交界シーズンの始まりの舞踏会は地方の領主や町に住む上流貴族の楽しみである。
この日を狙って地方からやって来た領主たちとの謁見が行われ、いつもより多忙である。