男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
「社交ダンスかぁ……侍従には必要ないのかもしれないけれど、万が一お相手を務めることもあるのかな……」


図解は見事で、以前祖父に教えてもらったことを思い出す。ということは、祖父も社交ダンスを勉強したのだと考えられた。
 
ちょうど素敵な曲も聴こえてきて、踊って見たくなったミシェルは立ち上がり、記憶にある足の動きをしてみる。


「手はこうして……」
 

男性が目の前にいるとして肩に軽く置ようにして、ミシェルは足を動かした。

パートナーがいないせいか、意外と踊れている気がしてきたミシェルだ。
 
くるっとターンしてみたり、優雅に舞ってみたりしているうちに、目の前にクロードがいる気分になってしまった。
 
そこではたと気づき立ち止まる。


「男性側を勉強しないといけないのに」
 

ミシェルは重いため息を漏らしてから、乱暴に椅子を引いて座る。
 
社交ダンスの章を飛ばし、パラパラめくる。食事のマナー、刺繍などもあった。


「侍従って大変なお仕事ね……それもそうよね。なんといってもこの国の国王陛下のお側にいるんだもの」
 

王城へ来てもうすぐ半月になる。



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