男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
(お嬢ちゃんと言った……?)


女だと正体がバレていたようだ。だが、かまをかけているのかもしれない。


「意味がわかりません」
 

ミシェルはあくまでもしらばっくれる。


「どういうつもりで男しかなれない侍従見習いなんてしているんだ?」
 

とぼけるミシェルにパスカルは楽しそうだ。
 
答えられないでいるミシェルにパスカルは手を伸ばした。


「あっ!」


シルバーブロンドを結ぶリボンが解かれ、ふんわりと顔の回りに髪が舞う。


「やっぱり美しい」
 
混迷によって陶磁器のような肌を赤らませたミシェルにパスカルは満足げに頷く。


「僕は男です!」
 

言い張るしかなかないミシェルだ。


「まだ断言する気か……いいだろう。私の目に狂いがない事を教えてやろう」
 

リボンを持っていたパスカルの手から床に落ちる。
 
ミシェルは身の危険を感じて扉のほうへ逃げようとしたが、簡単に腕を掴まれて放り投げられるようにベッドに転がされた。


「ううっ……」

「女を知り過ぎている俺を騙すことなんて出来るわけないだろう?」
 

クックックッと、喉の奥で楽しそうに笑うパスカルにミシェルは恐怖を感じた。

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