男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
「これはすぐには効かず、数時間後に死ぬ。だから犯人がお前だとは気づかれない」

「陛下に毒を盛るなんて出来ません!」
 

ミシェルは吐き気を覚えた。実際喉元まで先ほど食べた夕食が戻って来ている感覚だ。


(陛下を殺すなんて考えただけでも頭がおかしくなりそう……)


「気が強い女も嫌いじゃないぞ。ますます気に入った」
 

泣きそうになりながらも言い切るミシェルにパスカルは冷たい笑みを浮かべる。


「お願いです。陛下を殺すなんて考えないでください」

「それは出来ないな。私は今まで母の出自が悪いために虐げられて生きてきたんだ。クロードがいなければ次の国王は私だ。クロードには死んでもらう」
 

クロードが生まれてからパスカルはいつも二の次になっていた。第一王子だがなんの力もなく、第二王子のクロードがもてはやされていた。
 
パスカルはクロードの失脚、もしくは死をずっと望んでいたのだ。


「逃げようとしても無駄だぞ。お前が逃げれば一族もろとも死しかない」

「ええっ!?」

(一族……)


ミシェルは八方ふさがりになってしまった。



< 149 / 272 >

この作品をシェア

pagetop