男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
クロードに支えられていたミシェルは弾かれたように手から離れ、地面にひれ伏す。


(女だと知られてしまった。こんな形で知られたくなかった……)


「ミシェル、なにをしている?」
 

クロードの口から「ミシェル」と名前を呼ばれ、ハッと顔を上げて食い入るように見つめる。


「どうして……」
 

ミシェルにはなにがなんだかわからなかった。
 
パスカルは捕まったが、家族が心配だった。パスカルの手の者に家族が殺されると思うと背筋が凍る思いだ。


「家族が……」
 

小さく呟くとクロードは片膝を地面につき、ミシェルの頬からパスカルに絞められた跡が赤くなっている首に指で触れる。
 
ビクッとミシェルの身体が跳ねる。


「ヴァ―ノン、義兄上を連れていけ」

「御意」
 

ヴァ―ノンは逃げようと暴れるパスカルと共に立ち去った。衛兵ふたりを残し、第一騎士団らも去っていく。
 
クロードは困惑した表情のミシェルに手を添えて立たせる。


「家族は無事でいるから安心しろ。お前が女だと知っていた」

「ええっ? い、いつからですか? ゴホッ……」
 

その声はかすれていた。


< 165 / 272 >

この作品をシェア

pagetop