男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
「お前が川の冷たい水で熱を出した時だ。侍医らには私はお前が女だと知らないことにさせた」
 

クロードの説明にミシェルは首を傾げる。そんな仕草ひとつとってもクロードには可愛い。


「どうして……私が女だと知らないふりをしていたのですか? アベル侍従は?」

「アベルも知っている。私はお前に惹かれ、手放せなくなっていた」
 

クロードは大きな手でミシェルの両頬を囲むように触れる。初めて見る甘さを含んだ黒い瞳に、ミシェルの心臓がドクッと高鳴る。


「へ……いか……」

「ロドルフは罪だと知り、お前を侍従見習いにしたのは土地のせいか?」
 

クロードの手のひらの中でミシェルはコクッと頷く。


(陛下はなにもかもお見通しだったのね……)


「あの土地はすでに私が即位した時から譲渡のサインがしてある。ロドルフは知らなかったが」

「おじいちゃんは切羽詰まっていたんです……」
 

祖父と自分のやったことは許されることではない。ミシェルはシュンと視線を下に向けた。


「そんな顔をしないでいい。私が話すのが遅かったようだ。しかしお前に会うことが出来たのは神の思し召しだろう」
 

クロードはフッと笑い、ミシェルの唇に唇が重ねられた。

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