男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
ミシェルは驚きすぎて目がまん丸になり固まったままクロードを見つめる。


「こういう時は目をつぶるもんだ」
 

クロードは笑いながら、唖然となるミシェルを離す。


「いっ、今っ、キスを!」

「もう我慢できない」
 

クロードの色気たっぷりの顔が真正面から見られない。ミシェルは火が出そうなくらい顔が熱かった。


(もう我慢できないって、どういうことなの……?)


「ミシェル、私を見ろ」
 

クロードの長い指がミシェルの顎に触れて向かされる。英知ある黒い瞳に自分が映っていた。


「私が気持ちを抑えていたのがわからなかったんだな?」

「ま、まったくもって……あ!」
 

わからないと答えようとしたが、ベッドに引き込まれたことを思い出す。


「陛下? いつもお目覚めがよかったのに、急に起きられなくなって……」

「そうだ。お前に触れずにはいられなかった」
 

クロードはカップに手を伸ばし、ひと口お茶を飲む。


「私は、陛下が男好きなのかと――」

「ゴホゴホッ!」
 

ミシェルの突拍子もない言葉にクロードは口にしたお茶がむせる。

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