男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
「陛下、大丈夫でございますか!?」

 
咳をするクロードにミシェルは背中に触れようとした。だがその手が止まる。クロードはミシェルが馴れ馴れしく出来ない高貴な人だ。


「……どうした? 背中を叩いてくれないのか?」

「私は陛下を……お慕いしています。最初は伯爵の子息としてのクロードに惹かれました……そしてお仕えしていくうちに……でも、あなたは国王陛下です……」

「キスをしたのに、まだそのようなことを言っているのか? しかも伯爵の子息のふりをしていた私と国王の私は同じだろう?」
 

クロードは深いため息を漏らし、ミシェルの額にキスを落とす。


「……違います……伯爵の子息のクロードさまは親しみやすかったです」
 

ミシェルは首を左右に振る。


「だからあれも私の一部分だ。覚悟しておけ。もっと私を好きにさせる」

「ええっ?」


思いもよらないクロードの言葉にミシェルは目をパチクリさせる。


「なぜそんなに可愛い? 義兄上に会わせたくなかったのだが……お前には大変な目に遭わせたな」
 

そこでミシェルはハッとなる。



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