男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
「陛下、ブルーニ公が毒の入った小瓶を私の部屋に置いて行ったんです。取ってまいります」


ミシェルがすっくと立ちあがると、クロードも腰を上げた。


「毒が入った小瓶など、危なくてお前に持たせられない。私も行く」

「私よりも陛下のお命が大事です」
 

クロードは嬉しそうに口元を緩ませ、ミシェルを引き寄せる。


「陛下っ!」

「お前につい触れたくなるな。行こう」
 

クロードはミシェルの背に手を置き、談話室を出た。私室から廊下に出た時、ヴァ―ノンがやって来た。


「陛下、ブルーニ公は東棟の地下牢に」

「ちょうどいい。お前も来い。ミシェルの部屋にある毒がなんの毒か調べよ」

「御意」
 

ヴァ―ノンは深く頭を下げ、クロードとミシェルの後ろから付いてくる。ひそかにヴァ―ノンはミシェルの姿に驚いていた。

今のミシェルは髪をおろし、川で見つけた髪飾りをしていた。
 

ミシェルは部屋に入り、引き出しにしまった引き裂かれたシャツから小瓶を出した。シャツを見せるつもりはなかったのだが、クロードがそれを手にしてしまった。


「あっ!」

「なぜ引き裂かれている? まさか!?」
 

クロードはパスカルが舞踏会の日ここを訪れたのは報告を受けていた。
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