男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
実はこの部屋と隣のアベルの部屋は声が聞こえるほど壁が薄く、会話も筒抜けだった。

第一騎士団の者に監視させていたが、ミシェルが襲われた報告はなかった。


「だ、大丈夫です! シャツを引き裂かれただけです」
 

リボンを下げられ胸を見られたことは言えなかった。


「ヴァ―ノン、報告がなかったぞ。確認しろ」

「かしこまりました」
 

ヴァ―ノンは小瓶を持って立ち去った。


「陛下、本当にシャツは引き裂かれただけなのです」

「ミシェル、巻き込んでしまいすまなかった。義兄上の目に触れさせるつもりではなかった」

「あ! だから東屋で陛下のジュストコールが私の頭に……」
 

すっと守られていたのだ。
 
ミシェルは嬉しくなり笑顔がこぼれる。


「お前にはずっと笑っていて欲しい。可愛すぎるぞ」
 

再びクロードはミシェルを腕の中に閉じ込め、シルバーブロンドの髪に唇を押し当てた。


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