男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
その後、横になってゆっくり休むようにとミシェルを部屋に残し、クロードは出て行った。

扉が閉まり、ミシェルはへなへなとベッドに座る。
 
いろいろあり過ぎて、クロードが出て行った今緊張感がなくなり酷い疲れを覚えていた。


「おじいちゃんたちが助かってよかった……陛下のお怒りもなかったし……」
 

もともと楽天家であるミシェルだ。


(一時はどうなることかと思った。でも……侍従見習いは出来なくなるから、陛下とお別れ……)
 

そう思うと、切ない思いと共に涙が出てきた。
 

ベッドに横になったミシェルは髪飾りを髪から取って手の中に収める。そこで眠気に襲われ、ミシェルは目を閉じた。
 
 



ミシェルに夕食を持ってきたアベルは声をかける。廊下のランプと月明かりを頼りに中へ進み、机に盆を置いて机の上のランプに火を灯す。
 
部屋の中が温かいオレンジ色に包まれる。


「食事を持ってきたよ」

 
ベッドに近づき起こそうとしたアベルは驚く。ミシェルが額から汗をにじませぐったりしていたのだ。


「可哀想に。ひどい熱だ」


アベルは部屋を出て侍医室へ行った。国王陛下へ報告は今できなかった。クロードはパスカルの件で東棟の地下牢へ行っていたからだ。


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