男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
静かにミシェルの部屋へ入ったクロードにベッドの近くでウトウトしていたベアトリスが気づく。


「陛下っ……」
 

ベアトリスは慌てて立ち上がり、ひざを折りお辞儀をする。


「楽にしろ。ミシェルの容態は?」
 

身体を起こし、背筋をピンとさせたベアトリスだ。


「まだ熱が下がっておりませんが、呼吸は楽になったようでございます」

「お前は戻って少し休め。私が側にいる」
 

そう話すクロードの瞳は眠るミシェルしか見ていない。


「それでは少しここを離れさせていただきます」
 

ベアトリスはもう一度膝を折って礼をして部屋を退出した。
 
クロードは枕もとにサファイアの髪飾りがあるのを目にする。ミシェルが握りながら眠ってしまったのを、ベアトリスが邪魔にならないように枕元に置いたのだ。
 
長いまつ毛が頬に影を落とし、ミシェルは静かに眠っている。クロードは彼女の隣に身体をそっと横たえた。
 
肘をシーツに付け頭を上げた状態でミシェルを見つめるクロードは触れられずにはいられなくなり、頬にかかるシルバーブロンドの髪のひと房を優しく払う。
 

クロードはしばらく見つめていた。その時不意にミシェルの目がパチッと開く。

最初はぼんやりした瞳だったがすぐに隣にいるのがクロードだとわかると、飛び跳ねるようにして身体を起こす。

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