男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
「ぁ……」


上体を起こしたミシェルはめまいに襲われた。頭がフラフラしている。


「まだ起きるのは無理だ」
 

クロードは額に手を置いているミシェルの肩に手を添え、もう一度横にならせる。


「陛下……私……」


(この感じは熱があるのは間違いない。どうして陛下が横に……?)


「つらくはないか?」
 

ミシェルを見つめる黒い瞳は温かみがあり優しい。


「大丈夫です。私、あの、また……ご迷惑をおかけしてしまったみたいで……」

「疲れたようだ。最近気を張っていたせいだろう」
 

添い寝をする状態でいるクロードにミシェルはどうしていいのかわからない。添い寝など、小さい頃に母マリアンヌがしてくれたくらいだ。
 
フランツは双子で仲がいいが、男女の差があるせいか、一緒のベッドで眠ったのはその差がわからなかった小さい頃まで。
 
クロードのベッドに引き込まれ後ろから抱きしめられたことはあるが、相手は国王陛下だ。慣れることはなく、ミシェルはいつでも胸をドキドキ高鳴らせてしまう。
 
しかもクロードは長い指で彼女の頬をゆっくり撫でている。


「へ、陛下、ずっとここにいらしたのですか?」


(どうしよう……そんな風に撫でられていたら、世界一愛されているように思ってしまう)
 

ミシェルは戸惑いの瞳をクロードに向ける。


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