男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
ミシェルはおそるおそる姿見の前に立った。

侍女ふたりの手によって着つけられ、鏡に映るミシェルは目を疑った。


「これが私……?」
 

まるで貴族の令嬢みたいに見える。
 
シルバーブロンドの髪はふんわりとそのまま垂らし、右耳の上のところでクロードからのサファイアの髪飾りをつけている。
 
頬紅と唇がほんのり赤く、いつもより顔立ちがはっきりしている気がした。ドレスに至ってはコルセットで多少苦しい。

だが、初めてのドレスに心が浮き立つミシェルだ。
 
舞踏会の日、自分は絶対に着られないと思ったロマンティックなドレスを見下ろしてからクルリと回ってみる。


「本当に美しいこと」
 

イヴォンヌはミシェルの出来栄えににっこり笑みを浮かべた。


「イヴォンヌさま、ありがとうございます。こんな綺麗なドレスが着られたなんて夢のようです」

「陛下が水色のドレスがいいとおっしゃられて。陛下の反応が楽しみですわね。いつも男の子の姿でしたから」
 

そこへ支度を終えた連絡を侍女から受けたアベルがミシェルを迎えに来た。


「おおっ! 本当にミシェルなのか? 美しい……」
 

アベルは見違える姿になったミシェルに見惚れる。褒められたミシェルははにかんだ笑みを浮かべた。


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