男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
「まるで女神のようだな」
 
クロードはミシェルに近づき、細い腰に手を置きテーブルへエスコートする。

エスコートなどされたことのないミシェルは俯き、転ばないように慎重に歩いた。

席に着いたあともまともにクロードの顔が見られない。
 
そんなミシェルにクロードは首を傾げる。


「どうして私の顔を見ない?」

「……こんなことは初めてなので恥ずかしいのです。このように美しいドレスを着たことがなくて」

「恥ずかしがらずにいろ。お前はどの上流貴族の令嬢より美しい」


クロードはミシェルの美しさから目を離せないでいた。
 
陶磁器のような白い肌に高揚した頬。瞳は宝石のようで、唇はみずみずしい果実ように艶やかだ。
 
その唇に今すぐ触れたくなるクロードだ。
 
アベルがグラスに葡萄色したワインを注いでいると、料理長が温かい料理を運んできた。
 
極上のワインを飲み、美味しい食事を食べ、ミシェルの緊張はしだいにほぐれてきた。
 
こうしていると、町で出会った伯爵の子息クロードみたいに思えてくる。


「お前は双子だったな。似ているのか?」
 

クロードは以前、ロドルフから孫は双子だと聞いていたのを思い出した。





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