男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
ミシェルは特別な女性になったように感じ、少し大胆になれる気がした。

クロードが曲に合わせて動き出す。ミシェルの身体がクロードのリードで踊り始める。
 
あの時、想像した通りのことが今起きている。ミシェルは夢見心地で足を運んだ。


(ダンスってこんなに楽しいものなのね)
 

緊張していたミシェルの顔はいつの間にか笑顔になっていた。
 
楽しそうに踊るミシェルにクロードは目をそらせない。愛おしい娘の笑顔をもっと見ていたいと思うクロードだった。


「もうこのくらいにしよう。お前は病み上がりだ」
 

二曲踊ってから言われ、残念だと思うほど、ミシェルはダンスを楽しんでいた。
 
クロードは談話室のソファにミシェルを座らせる。すぐにアベルが冷やされたワインを運んできた。
 
一度談話室から立ち去ったアベルだが、すぐに姿を見せクロードに近づく。


「陛下、失礼いたします。イヴォンヌさまが王城からの帰り道、何者かに襲われたと連絡が」

「襲われただと?」
 

クロードは飲んでいたグラスを大理石のテーブルに置く。

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