男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
「陛下にお前の様子を見るように言われたんだよ。もう寝なさい」

「はい。本当にアベル侍従には負担をかけてしまい……」

「いいんだよ。これはこれで楽しんでいる」
 

どういう意味なのだろうかと、ミシェルは首を傾げるが、アベルは笑って部屋を出て行った。



翌日は町の警備体制の見直しや議会でクロードは忙しく、ミシェルは会えなかった。
 
まだ外へ出る許可をもらえていないミシェルはアベルと昼食を食べ終えてから、陛下の私室の掃除をしたいと言うと、よい返事はもらえなかった。
 
自分の処遇が決まっておらず、決まるまでアベルを手伝いたかったのだ。


「まだ身体が戻っていないはずだ。陛下からはしっかり休ませるように言われている。お前が手伝おうものなら私がお叱りを受けるよ」

「……では陛下に会った時に、お話してみます」


陛下はもうミシェルに掃除をさせることはないだろうと思いながら、アベルは曖昧に頷いた。




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