男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
二日後、クロードがミシェルの部屋を訪れた。

やることがないミシェルはクロードから借りている本を読んでいた。


「ミシェル、外へ行こう」

「外に出られるのですか!? あ、でも陛下はお忙しいのでは……? イヴォンヌさまは……?」

「イヴォンヌは大丈夫だ。ミシェル、それでは男の子のようではないか。ドレスを揃えさせよう」
 

今のミシェルは侍従服を身につけていた。


「い、いいえ。ドレスは必要ありません」
 

もうすぐ家へ帰るだろう思っているミシェルは首を横に振る。


「お前はやはりドレスのほうが似合う。あぁ、ミシェル、外といっても町ではないぞ?」

「はい。陛下、バラ園へ行ってもいいでしょうか?」

「バラ園は大変な目に遭った場所だ。大丈夫か?」
 

クロードに気遣われて、ミシェルの顔は花が咲いたような笑みになる。


「大丈夫です! 陛下、行きましょう!」

「ちょうど昼食だ。バラ園で食べることにしよう」

「ありがとうございます。あ、昼食を運ぶのを手伝ってきますから、陛下は先――」
 

廊下に出たミシェルはお辞儀をして先に厨房へ行こうとした。
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