男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
空は青空が広がり天気が良く、バラの香りが漂い、気持ちがいい日だ。


「外での食事は食が進む。ミシェル、たくさん食べなさい」
 

まるで母鳥が雛にエサをあげるように、クロードはミシェルの皿に料理を置いて行く。


「陛下、そんなに食べられないです」
 

外で食べる食事は美味しく、いつもより食が進むミシェルだが、もうお腹がいっぱいだ。
 
ミシェルは侍従見習いが出来ないはずなのだが、クロードはなにも言わない。


(私から切り出さないと……けじめはちゃんと……)


「陛――」
 

ミシェルが話そうと口を開いた時、席を外していたアベルが誰かと共に現れた。


「陛下、ロドルフ侍従長が参りました」
 

アベルの後ろにいるのは祖父ロドルフだった。ミシェルは驚いて椅子から立ち上がる。足を怪我していたロドルフは杖をついており、少しよくなったようだ。


「おじいちゃん!?」
 

ロドルフは神妙な面持ちでクロードが座るテーブルの前で両膝を置き、地面につきそうなくらい頭を下げた。


「陛下、このたびは……弁解の余地もございません……私の一存でやったことです。孫は巻き込まれただけでございます」
 

ロドルフは真摯にクロードに謝る。


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