男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
クロードが以前ミシェルに渡した本は妃になる者が読む教本だ。あの時からミシェルを妃にしようとクロードが考えていたのはアベルには一目瞭然だった。


「私はお前の孫、ミシェルを愛している」
 

ロドルフは目を大きく見開き、卒倒しそうなくらい口をパクパクした。


「おじいちゃんっ!」

ミシェルはクロードの言葉に動揺を隠せないが、祖父が倒れそうでそれどころではない。


「アベル、ロドルフに水を」
 

クロードの指示により、アベルはロドルフに水を飲ます。ロドルフは水を飲み終えて、大きく息を吐く。


「陛下、私の心臓が一瞬止まりました……年寄りを驚かせるにはおふざけが過ぎます」
 

ロドルフは冗談だと思っている様子。
 

まさか自分の孫が国王陛下に愛されるはずがないと。


「私はふざけていない。ミシェルを愛している。この気持ちは他の女には抱かないものだ」
 

クロードはあ然となっているミシェルに視線を向け微笑む。


「ミシェル、私の妃になってくれるだろうか?」
 

手をミシェルの手に重ねて問いかける。大きな手に包まれた手にミシェルは視線を落とす。


(私が陛下の妻に……?)
 

ミシェルは答えられないでいた。そこへ少し落ち着きを取り戻したロドルフが口を開く。



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