男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
「陛下、孫娘はあまりにお話に驚いている状態です」


国王からの求婚だ。ミシェル側からは断ることは出来ない。


「それもそうだ。あまりにも突然だったからな」
 

クロードは椅子から立ち上がり、ミシェルの元へ行く。そして彼女を立たせた。


「少し歩いてくる。お前たちは付いてこなくていい」
 

少し離れたところで護衛をしている衛兵に命令し、クロードはミシェルの手を握り歩き出す。
 
ミシェルは茫然自失のまま足を動かした。それほど彼女にとってもショックであった。
 
バラの道を進み、誰にも声が届かないところまで来たクロードは立ち止まる。


「陛下……」

「クロードと呼べ」
 

ミシェルはクロードの胸に引き寄せられた。


「突然のことで驚いただろう? 侍従服ではなくドレス姿のお前に求婚したかったが……。ロドルフが今回のことで心痛しているだろう? この機会に話し、元気を取り戻してやりたかったのだ」
 

クロードが幼い頃から側にいたロドルフだ。

ミシェルより一緒にいた時間は長い。それゆえ、祖父のような感覚もあった。年も取っており心配をかけさせたくなかった。

ロドルフを思いやるクロードの気持ちがミシェルの心に染みていく。


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