男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
「陛……クロードさま、なんと言っていいのかわかりません……私たちは出会ってそれほど経っておりません。そのように性急に決める必要はないかと……」


出会ってまだ一ヵ月も経っていない。婚姻の話は極端に早過ぎて、ミシェルは怖かった。


「私たちの世界では結婚が決まるまで会わないこともある。最近では社交界デビューで見初めることもあるが。私はそういった出会いよりも、直感を信じる。お前は私の妃になるために生まれてきたんだ」
 

クロードはミシェルの顎に手をかけ上を向かせる。ミシェルの瞳が揺れていた。


「どうしてもお前に惹かれる。どう責任を取ってくれるのだ?」
 

クロードはピンク色の唇に唇をそっと重ねた。


「お前の唇はここにあるバラの花びらのようだ」
 

ミシェルの唇をクロードは親指の腹でゆっくり撫でる。


「私の妃になってくれ。ミシェル。愛している」
 

ミシェルもクロードとの出会いは神さまの思し召しだと思う。

しかし、国王陛下の横に立つのは上流貴族の令嬢か他国の姫が最上で、村娘の自分が妃になってはいけない。


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